2010年版のジャケット――相互乗り入れ・片乗り入れ特集

しばらくお知らせや小ネタの類が続きましたので、このあたりで『鉄道手帳』の編集をめぐる話に戻したいと思います。今日は2010年版のジャケットについてお話しします。

2009年版のジャケットのところでも書きましたように、表紙にタイトルを印刷した切符をあしらうというスタイルは、2010年版からはじまりました。

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まず、硬券仕様の切符について少し書いておきます。切符のデザインは、参考にする切符写真と盛り込む要素だけを決めて、あとは装丁家の濱崎氏にまかせました。赤線の切れ方、年月日スタンプの微妙な傾き、地紋などうまく仕上げてくれました(ちなみに地紋は創元社の白鳥型のロゴです)。こういうことを何も言わなくてもやってくれるのが濱崎氏のいいところです。なお、切符の右上から左下にかけて走る3本の赤線は、3等車の乗車券であることを示すものです。切符の種類は毎年変えています。

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ジャケット表1(オモテ面のことをこう呼びます)の写真はEF64が牽引する『あけぼの』、表4(ウラ面)には資料編の「全国相互乗り入れ・片乗り入れ運転概況」を収録したのに合わせて、乗り入れ場面の写真を7枚入れました。撮影はいずれも所澤氏で、いつものことながら厳格なトリミング指示で難儀したのを覚えています。このときはそれぞれの写真が小さかったこともあって、長さは0.5㎜単位、角度は1度未満で微調整をくり返しました。

列車の面(つら)が揃うように撮るのはそんなに簡単ではないと思いますが(乗り入れのタイミングや列車の停止位置、走行速度がまちまちであるため)、そこはさすがに所澤氏で、事前の綿密な調査と粘りで見事に撮影しています。

ご参考までに、それぞれの撮影地と車両を書いておきます。組み合わせの妙を感じていただければ幸いです。

●右列最上段……近鉄奈良線・大和西大寺駅[阪神1000系と近鉄8600系]
●右列2段目……近鉄奈良線・生駒駅[阪神1000系と大阪市24系]
●右列3段目……近鉄奈良線・大和西大寺駅[阪神1000系と京都市10系]

●中列上段……阪神本線・芦屋駅[山陽5000系と近鉄9020系]
●中列下段……東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)・曳舟駅[東武30000系と東急8500系]

●左列上段……東急目黒線・多摩川駅[都営6300形と東急5080系]
●左列下段……JR東日本伊東線・伊豆多賀駅[JR東日本185系『踊り子』と伊豆急8000系]

ジャケットに使う写真は、毎年所澤氏と相談して決めます(ほぼ氏の言いなりですが)。表1と扉(最初に出てくるページ)の写真は氏の好みで機関車が入ることが決まっていて、毎回手帳のために氏自身が撮り下ろします。表4はその時々で入れる写真を考えますが、だいたいがその年に撮影されたもので、やはり氏の撮り下ろしです。手帳中身に写真を掲載しない分、外側の写真は趣向を凝らしている次第です。



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鉄軌道各社様のご協力に感謝。

4日ぶりの更新です。毎日チェックされていた方、お待たせして申し訳ありません。

今日は『鉄道手帳』の編集に欠かせない鉄軌道各社によるご協力について、感謝の気持ちを込めつつ綴りたいと思います。

資料編に「日本の鉄道事業者・軌道経営者一覧」という資料があります。『鉄道手帳』をお持ちの方には言うまでもありませんが、これは日本国内すべての鉄道事業者と軌道経営者の基本データをまとめたものです。2011年版から掲載していて、毎年データを更新しています。

本当は基本資料として2009年版から掲載したかったのですが、2009年版の時はとにかく手帳を完成させるのに手一杯で調査の余裕がなく断念。2010年版でも入れようと準備はしていたのですが、ダイアリー見開き1週間を採用し、さらに資料編も膨らんで全体のボリュームが大幅に増したため、掲載を見送りました。とくに2010年版の時は、元原稿が7割程度できていたのでこれを仕上げて何とか載せたかったのですが、どうにも資料編のボリューム調整がうまく行かず(例によって所澤氏が譲らず)、泣く泣く掲載をあきらめたという経緯があります。

2011年版でようやく日の目をみることになりましたが、一覧表を完成させるのにはなかなか手間がかかりました。元原稿は『鉄道要覧』や国交省資料、各社会社案内等を参照して編集部で作成したのですが、データ取得日や数え方が異なっている場合もありますし、こちらの入力ミスの可能性もありますので、いかに公の資料に基づいているとはいえ、このまま出すのはまずいと思いました。

そこで各社にデータの確認を依頼することにしました。「そんなの当たり前」と言われるとそのとおりですが、『鉄道要覧』によれば事業者・経営者が204件(当時。現在は203件)もありますから、そう簡単には行きません[注1]。各社の住所はコツコツまとめたものの、何しろこういう調査を鉄軌道各社に依頼するのは初めてですから、どの部署に送ればいいのかわかりません。それに当該の部署に送ったところで、開封してもらえるかどうかもわかりません(DMの類と思われて読まれないというパターン)。鉄道本にかんしてはまったくの新参者ですから、相手にしてもらえないんじゃないかという心配もありました。この手の調査は多少経験があったものの、勝手がわからず、実際に各社から回答をいただけるのかとても不安でした。

が、これは杞憂に終わりました。ありがたいことに、回答締切日が近づくにつれ、各社からの回答が次々に届きました。ふだんから鉄道書籍や雑誌を出している出版社ならともかく、はじめて鉄道本を出すような出版社の依頼に対して、こうも気前よくご返事をいただけるとは思いませんでした。データの確認以前に、各データの意味するところを理解したうえで回答していただく必要があるものでしたから、最初はかなりのお手間がかかったことと存じます。当時回答をお寄せくださった皆様、ご多用のなか本当にありがとうございました[注2]

さて、各社からの回答をみると、やはり元原稿で間違っているところがありました。駅のカウントのしかたが違う、営業キロ数が厳密に言うと違う、車両数は現時点では元原稿どおりだが近々新規車両を導入予定である、動力の種類が違うなど、さまざまなご指摘をいただきました。確認をお願いして本当に良かったと思います。

こうしてデータ取得日に多少のバラつきはあるものの、各社の基本データを揃えることができたのですが、各社には基本データの確認に加えてもうひとつお願いをしていました。月間スケジュール頁に掲載しているイベントの情報提供です。

これについても感謝の言葉を申し上げたいところですが、長くなりましたのでまた別の機会にしたいと思います。

最後に全国の鉄軌道各社様にかさねて御礼申し上げます。いつもご高配くださり、ありがとうございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。



[注1]鉄軌道会社の数は2011年版では204でしたが、2012年4月1日付で十和田観光電鉄線が廃止されたため(ただし十和田観光電鉄そのものは存続)、一覧から割愛しました。

[注2]むろん、すぐにご返信をいただけないケースもありました。確認の電話をすると、「えっ、そんなのもらってない」「ああ、あの白い封筒ね。届いてたよ。どこやったべかなぁ」などと言われることもしばしば。ごくまれに(本当にまれに)、「なんでお宅にそんなことを教えなきゃいけないんだよ。ウチにそんな義務はないよ」とお叱りを受けることもありましたが、最終的にはご返事をいただくことができました。一方で、新駅や駅名改称の予定など、こちらが質問していないことまで教えていただくこともありました。ありがたいことです。

2009年版のジャケット

今日は『鉄道手帳』の装丁についてお話しします。ビニールカバーに紙ジャケット(カバー)というスタイルは2009年版以来変わっていませんが、じつは毎年少しずつ進化しています。

装丁は2009年版からずっと、装丁室801の濱崎氏[注1]にお願いしています。タイトル部分に硬券を使うというアイデアは濱崎氏ならではのもので、毎年どのタイプの切符が付くのか楽しみにしている人もいます。ただ、切符が付いたのは2010年版からで2009年版はこんなデザインでした。

尼崎車庫

上の写真ではわかりにくいかもしれませんが、タイトル部分は銀箔になっていて、タイトルのやや下にやはり銀箔で北斗七星が描かれています(現物をスキャンしたので、銀箔の部分が黒くなってしまいましたが)。これはなかなか好評で、アンケートはがきに「表紙の北斗七星が良かった」と書いてこられる方もいました。私も気に入りました。

造本仕様のことでもう少し書くと、2009年版ではジャケットと帯(写真)が別々でした(いまは帯相当部分をジャケットに刷り込んでいます)。また、この時はジャケットの裏は印刷がなく、リバーシブル仕様ではありませんでした(当然ながら、両面印刷は余分にお金がかかります)。現在のかたちになったのは2010年版からです。当初は、鉄道写真をはずしたい場合は帯をはずしてもらえばいいと思っていたのですが、ISBNのバーコードが邪魔だというご意見をいただいたので、ジャケット両面印刷を採用した次第。

ちなみに現在のジャケット裏面にはちょっとした加工が施してあります。摩擦耐性を高めるため、「ニスびき」をしています。高級な加工ではありませんが、これによりジャケット裏面の色落ちを抑えることができるのです。

帯に使われている写真は、表面が2009年3月に引退した「富士・はやぶさ」、裏面は阪神なんば線開業前、2008年夏の終わりごろに撮影した阪神電気鉄道・尼崎車庫です。阪神・近鉄の電車が並んでいるのがおわかりでしょうか。撮影のタイミングはおそらく数日しかなかったでしょうから、なかなかレアな写真だと思います。このあと、10月ころより阪神電鉄の運転士・車掌による本線での訓練が始まり、2009年3月20日に西九条~大阪難波間が延伸開業し、「阪神なんば線」として開業しました。

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[注1]『鉄道手帳』『鉄道の基礎知識』『国鉄の基礎知識』の装丁および本文フォーマットを担当。専門書から一般書まで幅広く手がけ、しかも完成度が高い。私はひそかに「マエストロ」と呼んでいます(ご本人には言いませんが)。造本装幀コンクールにて、審査員奨励賞、書籍出版協会理事長賞、印刷産業連合会会長賞印刷・製本特別賞受賞。ちなみに装丁室801の「801」は事務所の号室番号。猫好き。

資料編の編集――最初からてんこ盛り

前回までに、路線図の校正が大変だったというお話をしました。今日は資料編についてお話ししたいと思います。

資料編は、前にも書きましたように、所澤氏と編集部とで製作を分担しました。最初は30頁ぐらいのものにしようと考えていたのですが、所澤氏の熱意に押されるかたちで、結局48頁にもなってしまいました。

最初に出した2009年版には、以下の資料を掲載しました。

(1)鉄道の種類/(2)鉄軌道のゲージサイズ/(3)国内採用ゲージ一覧
(4)日本の特殊鉄道一覧/(5)列車運行事業者と線路所有者が異なる区間一覧
(6)日本の長大トンネル/(7)日本の長大橋りょう/(8)閉そく方式の種類と概要
(9)鉄道信号の種類と読み方/(10)JR列車の種類(輸送目的による区分)
(11)JR車両の形式記号・番号の読み方/(12)JR列車番号の読み方
(13)寝台特急パーフェクトガイド/(14) 全国の鉄軌道 複線区間 一覧図

上記のうち、2013年版にも掲載されているのは、(1)、(10)、(11)、(12)、(13)の5点のみです。毎年資料を差し替えることで新陳代謝を図っていることがおわかりいただけるかと思います。いま挙げた5点にしても毎年きっちり見直しており、できるだけ最新の正確な情報を盛り込むことに意を注いでいます。いちいち示しませんが、少し注意深く比べていただければ、すぐにわかると思います。

さて、苦労自慢が続き恐縮ですが、2009年版の資料のうち最も原稿整理に難儀したのは何かといえば、(9)の「鉄道信号の種類と読み方」です。原稿枚数が多いうえに構成が複雑で、図版もかなりの数があります。原稿を受けとった時、「え、これ全部ですか」と思わず聞き返したくらいです。ページ割や全体のバランスのことが心配だった私は、「手帳の資料なのだから、ここまで詳しくしなくてもいいんじゃありませんか」と抵抗しましたが、所澤氏の熱意には勝てず、原稿どおり全文掲載し、10頁強を割り当てることになりました。以下はその一部です。

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この資料はその後改訂されて、2010年版にも掲載されました。ただ、この時は入換合図の図なども加わり、信号の資料だけで原稿が倍ぐらいになっていました。すごい資料であることは間違いないのですが、それでも20頁分となると行き過ぎです。編集者としてはストップをかけねばなりません。

ただし、所澤氏は頑固ですから、腰を据えてかからねばなりません。ほかの資料が入らなくなる、メモ頁を削らざるを得ないなどと言っては抵抗し、何とかして増頁を思いとどまらせようとしました。双方譲らず、あわや一触即発というところまで気持ちが昂ぶることもありましたが、結局、所澤氏の粘り勝ちとなり、2011年版には載せないことを条件に、最後のわがまま(にはなりませんでしたが)を受け入れることにしました。

なお、この信号資料は、約束どおり2011年版には載せませんでしたが、2010年2月に発行した『鉄道の基礎知識』の巻末資料として再度改訂のうえ復活掲載しています(手前味噌ですが、現場写真も入って、さらに詳しくなりました)。

信号ほどではありませんが、(14)の「全国の鉄軌道 複線区間 一覧図」も大変でした。以下はその一部です(現物は8頁あります)。

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これも巻頭路線図と同じく所澤氏の特殊能力が発揮された一品でしたが、原稿を受けとった時の本音は「巻頭路線図もあるのに、勘弁してくださいよ」でした。首都圏の込み入った線を見ると、忌まわしい記憶が蘇り、いまでも頭痛がしそうです。が、そんなに苦労したにもかかわらず、この資料の掲載は2009年版かぎりになってしまいました。資料がまずかったからではありません。むしろ人気があったのですが、信号資料が大幅に増えたため、割愛せざるを得なかったのです[注1]

このように、全体のボリュームと質を左右する資料編の編集には悩みが絶えませんが、今後もご愛用のみなさまに活用していただけるよう頑張りたいと思います。忌憚ないご意見をお聞かせくだされば幸いです。


[注1]ちなみに2010年版では、複線区間一覧図の姉妹資料として、「全国の鉄軌道 電化方式 一覧図」という資料も入れるはずでしたが、資料編のボリュームが大きくなりすぎるため掲載を断念しました。ただし、そのままボツにするにはあまりに惜しかったので、『鉄道の基礎知識』の巻末資料として収録した次第です。「全国の鉄軌道 複線区間 一覧図」もいつか更新して、何らかのかたちで復活させたいと考えています。

路線図の編集――原図は畳1枚分以上

今日は『鉄道手帳』を名乗るうえで欠かせない構成要素である「全国鉄軌道路線図」について、その製作経緯と特徴をご紹介したいと思います。長くなってしまいましたので、お時間のある時にどうぞ。

所澤氏との打ち合わせの際、「路線図はこの手帳の肝であるから、相当に工夫を凝らさねばならない。これまでにない、徹底的にこだわった路線図をつくろう」ということで意見が一致しました。まず、JR線だけでなく大手私鉄、地方私鉄、地下鉄、路面電車などの駅、停留場すべてを掲載することを目標にしました。手帳サイズで全路線全駅(停留場)を網羅しようなどとは大それた考えでしたが、鉄道手帳を名乗る以上、それぐらいはせねばならないと考えていました[注1]

それから、鉄軌道会社ごとに路線を塗り分けるというアイデアが所澤氏から出ました。路線の塗り分け自体は、時刻表などの路線図でも部分的に使われている手法ですが、それをもっと徹底的に進めようというのです。ご覧のとおり、JR路線にはそれぞれコーポレートカラーを、私鉄や公営鉄道などについてもそれぞれ独自に路線色を割り当てましたので、各社の路線の広がりや重なりがひと目でわかる、カラフルな路線図になりました。これは本手帳ならではの特徴だと思います[注2]

おおよその仕様が決まったら、次は原図作成です。でも、こんな大きな路線図は作ったことがありませんから、どこから手をつければいいのかわかりません。どうしたものかと所澤氏に相談してみると、「じゃ、私がつくるよ。中途半端な原図が出来上がってくると、かえって修正に手間がかかるし、私なりにこだわりたいところもあるから。その代わり、チェックは念入りにお願いしますよ」とありがたいお言葉。ちょっと迷うところもありましたが、結局、原図作成は所澤氏に丸投げしました。

原図作成にどれくらいの時間がかかったのか、よく覚えていませんが、氏が原図を持参してこられた時のことは忘れられません。所澤氏が描き上げた原図は継ぎ接ぎだらけで、ゆうに畳1枚分はあるとんでもなく巨大な代物で、氏がそれを広げていく間、私は呆気にとられていました。最初はあまりの大きさに驚くばかりでしたが、よく見ると路線はほとんど迷いのない線で丁寧に描かれていて、駅名も几帳面な字で書かれています。

当初予定にはなかった工夫も随所に施されており、信号場・操車場に加えて貨物専用駅、JR各社の会社境界[注3]なども書き込まれていました。線種の指定や凡例、路線図中の注釈[注4]もじつに細かく、想像以上の路線図に仕上がっていました。その完成度はきわめて高く、私は氏の才能と集中力に恐怖さえ感じるほどでした[注5]。と同時に、果たして、こんな巨大な路線図が手帳サイズに収まるのか、やや不安になってきました。

ともあれ、この巨大な原図を一通りチェックし、トレスの作成を外部に発注しました。あの巨大な路線図がB6サイズに収まるのか半信半疑でしたが、字は限りなく小さいものの[注6]、指定のページ割どおり見事に収まっています。この路線図製作の栄誉は編集工房ZAPPAの河本氏[注7]にありますが、校正も相当骨が折れました。なにせ原図が大きいので、路線を追うだけでも大変です(コピーも大変)。

前述のように、所澤原図には駅・停留場はもちろんのこと、信号場や操車場、もろもろの注釈まで書き込まれていましたから、尋常の路線図ではありません。停車場・停留場名だけで軽く9000以上あるわけです。路線の名称・色・形、停車場・停留場の名称・位置、海岸線の形……と確認すべき箇所は数知れず、寝ていても脳裏に浮かびそうなほど、校正をくり返さねばなりませんでした(それでも間違いがありました。申し訳ありません)。

この作業はいつになったら終わるのだろうか、発売予定の「鉄道の日」に間に合うのだろうか。果てしない作業に絶望感が漂います。でも、やるしかありません。


[注1]全路線全駅を網羅……ただし、専用鉄道・専用側線〈専用線〉や非営業の車庫線などは実態把握が困難なため掲載していません。何度かご要望がありましたが、曖昧な情報は掲載しない方針ですので、ご了解願います。

[注2]カラフルな路線図……路線図で気に入っている点はたくさんありますが、個人的にとくに良いと思うのは東京地下鉄・都営地下鉄路線図です。所澤原図でまず目に付いたのは、メトロと都営の線種がまったく異なること。メトロはラインカラーで色分けしているだけですが、都営のほうはラインカラーに白丸を入れた線を採用しているので、ひと目でメトロと都営の路線の重なりがわかります。路線の重なりにもこだわっています。地下鉄路線が複数ある場合は、一般に新しいものほど地下深くに建設されますが、本手帳の路線図ではここも忠実に再現しています。駅の連絡にもこだわっていて、大手町駅などの駅アイコンは実状をふまえて複雑な形にしています(写真は2013年版)。
文書名 _鉄道手帳2013年版最終DATA1


[注3]JR各社の会社境界……2009年版では会社境界を入れただけですが、その後、支社境界と支社アイコンも導入しました(いずれもJR貨物を含む)。支社アイコンは、色付き丸に白抜き文字仕様とし、昔の路線図(とういか旅行図)の趣を出してみました。これを入れることで情報量が増すだけでなく、路線図全体が引き締まったのではないかと思います。

[注4]路線図中の注……たとえば、JR東海の飯田線・平井信号場付近にはこんな注釈があります。「豊橋~平井(信)間はJR東海・名古屋鉄道の線路共有区間(線路の所有者は下り線がJR東海、上り線が名古屋鉄道)」。加えて、平井信号場そのものには引き出し線を付して「小坂井駅構内扱い」としています。「読めば読むほど味が出る路線図」というと言い過ぎでしょうか。

[注5]所澤氏手書きの原図……本当に緻密で、デフォルメはされているものの、可能なかぎり現実の地形や線形が再現されていました。こういう路線図はどうやって描き上げるのか聞いたところ、「『鉄道要覧』や通常の地図を参考にしている」とのこと。ただし、「実際に路線に乗った記憶があるので、だいたいは覚えている。地図はおもに確認に使う。線を引いていると、沿線の風景が浮かび上がってくる」とも。たしかに、いちいち地図を見ながら描いていたのでは、時間がかかって埒があかないでしょう。そもそも、たんに路線を描くならともかく、駅名をも書き込んでいくには巨大な紙面が必要であり、そうなると地図をなぞるなどの手法は使えません。路線や駅の位置関係なども重要ですから、「路線図が頭にたたき込まれている」ぐらいでないと、こんな巨大な路線図は描き上げることができなかったでしょう。

[注6]字が小さい……「駅名を大きくして欲しい」というご要望をいただきます。たしかに小さく、矯正視力1.2の私でも読むのに苦労します(ちなみに校正のときは、1ページをA3サイズに拡大しています)。ただ、手帳サイズに全路線全駅(停車場)を載せるとなると、文字は小さくせざるをえません。ページ数を増やしたら、というご提案もいただきますが、路線図の横幅そのものはページを増やすことができるものの、天地(タテ)のサイズは変更できませんからいびつな路線図になってしまいます(現行でもかなりデフォルメしていますが)。ただ、需要があれば、本手帳の大判や路線図のみを発行したいとは思います。

[注7]編集工房ZAPPAの河本氏……とても頼りになる巨漢の地図製作者(本文組版もやってくれます)。『鉄道の基礎知識』『国鉄の基礎知識』でもお世話になっています。ZAPPAという屋号は、故中島らも氏がアメリカのミュージシャン、フランク・ザッパからとって命名したとか。