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1枚の布から

今日は週明けの席移動に備えて、午後から机まわりの整理をしていました。ふだんの整理が悪いので、大掃除の様相です。周囲のみなさん、どうもすみません。

いらなくなったゲラを処分していると、ほとんど忘れていた資料がポロポロ出てきました。企画として実現したものもありますが、立ち消えになった構想もたくさんあります。そういうのを見つけるたびに、苦虫をかみつぶしたような気分を味わいました。

それはさておき、引き出しを整理していたら、こんなものが出てきました。

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原鉄道模型博物館で購入したウルトラマイクロファイバー

原信太郎氏のコレクションの現物を初めて見たのは、博物館が開館する3年ほど前だったと思います。たまたま寄った「大阪くらしの今昔館」で特別展が開催されていて、原氏の声望はかねて聞き及んでいたので、迷うことなく入場しました。

残念ながら信太郎氏の姿を見かけることはありませんでしたが、コレクションの質の高さにただただ圧倒されました。実際の電車と同じように架線から電力を得て走るように作られ、複雑なギアも忠実に再現されていますから、いずれも精巧をきわめた一品です。

これほどのクラスになると、既成の部品などありませんから、道具や治具も手作りとなるわけで、綿密な計算と気の遠くなるような手間がかかることは想像に難くありません。あまりに感銘を受けたので、鉄道模型はやらないのですが、ついつい高額な写真集まで買ってしまいました。

(なおこのとき、当時、国土交通大臣の要職にあった前原誠司氏も見学されていました。お付きの人は1人でお忍び見学のようでした。)

信太郎氏とはその後もお目にかかる機会がなく、原模型博物館で開かれたお別れ会に出席させていただきました。信太郎氏のお人柄を示すかのように賑やかな会で、信太郎氏の好物であった牛肉やコーラが振る舞われました。牛肉もコーラも大好きな私は、偉大な趣味人とのあいだに共通点があったことが嬉しくて、その日のことをよく覚えています。

以上、1枚のマイクロファイバーからいろいろなことが思い出される、というお話でした。

明日は名古屋に行ってきます。
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京都鉄道博物館チラ見せ

先日ご報告しましたように、来年4月29日開業予定の「京都鉄道博物館」の報道各社向けの見学会に参加しました。

受付で社名を告げ、貸与されたヘルメットを被り、班ごとに案内していただいたのですが、幸運なことに、私たちの班の案内役はJR西日本本社広報部・開業準備室のF課長でした。

F課長は今回の開業プロジェクトの立役者で、しかも生粋の鉄道好きですから、展示物をはじめ館内のあらゆることに通じています。何を説明するにも要を得ていて、説得力があるのです。

まだ工事車両が行き交うエントランス部分から現場入口に向かう途中、「みなさんのほうがよくご存じでしょうから、いろいろ教えてください」と冗談交じりにおっしゃっていましたが、とんでもない。

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エントランスはまだ工事中のため、プロムナードから入りました。

以前、ある企画についてご相談するため本社に伺ったことがあるのですが、そのお話の端々に鉄道に関する深い知識と見識が垣間見えました。京都鉄道博物館の展示車両一覧を見るだけでも、その一端が窺えると思います(たまたま残っていた車両を集めただけではありません)。

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エントランスと本館をつなぐプロムナード。鉄道の高速化を切り拓いた車両が迎えてくれます。

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レア写真。0系食堂車の脱出口。この目で見たのは初めてです。見学会用に開けてくださったようで、ふだんは開ける予定はないとのこと。

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トワイライトプラザにはEF58形150号機とEF81形103号機が展示されています。上屋は二代目京都駅のもの。

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交通科学博物館の第2展示場にあったDD54。同じく交通科学博物館で食堂として使われていたナシ20形と連結されています。

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本館1階に鎮座する500系、581系、489系。ボンネットは「本来開くのだから、開くようにしよう」というF課長の一言で封印が解かれたとか。

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現存最古の国産蒸気機関車230形233号機。ピカピカに磨き上げられています。後方のナンバープレートは、同一番号のものが1つだけあるそうで、「探してみてください」とのこと。

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EF66形はかさ上げされて、下から眺められるようになっていて、さらに車両下の通路からは足まわりがしっかり見えます。

写真はほかにもたくさん撮りましたし、面白いお話もいくつも伺いましたが、興を削ぐといけませんので、あとはご自分の目でお確かめください。開業からしばらくは大混雑が予想されますが、一見どころか百見の価値があると思います。

トワイライトエクスプレスのアメニティ・グッズ

先日、新しい本棚が届いたのを機に蔵書の整理をしていたら、こんなものが見つかりました。

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トワイライトエクスプレスのアメニティ・グッズです。2001年夏に乗った時のものなので、最近のものとは仕様が異なるかもしれません。中にはこういうものが入っていました。

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左上からシャンプー・リンスセット/JRロゴ入りケースに入った石けん/整髪料・ローションセット/くし/ヒゲ剃り/シャワーキャップ/洗顔フォーム・化粧水・乳液セット

この時は二人で乗っていたので、シャンプーとリンス以外未使用のセットを残すことができました。とくに値打ちがあるわけではありませんが、これを見ると当時のことが思い出されます。

それまでにも北海道に行ったことは何度かありましたが、いずれも仕事で、札幌駅と北大近辺しか歩いたことがなかったので、長期休暇をとって北海道を満喫しようと思い立ったのがはじまりです。どうせ行くならラベンダーが満開の頃にしたかったのですが、どうしても休みがとれず、ラベンダーがかろうじて残っている時期になってしまいました。

ようやく長期休暇がとれる目処がたって、某旅行代理店に旅程を相談しに行きました。この時は大阪から飛行機で行くつもりでしたが、ひと通り提案を聞いたあと、ものは試しと「トワイライトエクスプレスで行きたいんですが……できれば個室で」と窓口の男性スタッフに切り出しました。

すると男性スタッフは、「え、トワイライトエクスプレス? そういう手もありますが、人気列車ですからねぇ、とてもとても……飛行機のほうが確実ですよ」。

そりゃそうです。ラベンダー満開時期ではないにせよ、まだまだハイシーズンですから、個室チケットなんてそう易々と手に入るものではありません。しかも、何の計画もなしに「この日に行きたいんですが」と言うのですから、無理な話です(乗車1ヵ月前はとうに過ぎていました)。

「でも、試しに調べてみましょうか。たぶんないと思いますけど」。くだんのスタッフは椅子をくるりと回転させると、後方の端末を叩きはじめました。

少し経って、男性スタッフがびっくりした顔で窓口に戻ってきました。「ありました! ありました! 奇跡です! A個室ロイヤルが1つだけ空いてますよ。この時期に信じられません! キャンセルが出たのかなぁ。どうします? 押さえます? 」

もちろん返事はイエスです。男性は返事を聞くやいなや、すぐさま端末に向かい、カタカタと打ちはじめました。私は固唾を飲んで男性が戻ってくるのを待っていました。

大して時間はかからなかったはずですが、やけに長く感じました。もしかしたら、どこかでもう予約が入ったかもしれない。じつは見間違えで、本当は空いてなかったんじゃないかとか、いろいろ考えた覚えがあります。

やがて男性スタッフが戻ってきて、やや興奮した面持ちで「予約とれました! 運がいいですね。こんなの初めてですよ。ロイヤルは1人個室ですが……あ、ちがった。エクストラベッドがあった。お二人でご乗車になれますよ」と報告してくれました。

私ももちろん嬉しかったのですが、あっけなく取れたので、「ありがとうございます!」とは言ったものの、何だか狐につままれたような気分でした。なにせ、まったくの無計画で、ふらりと寄った旅行代理店でピンポイントで予約がとれたのですから。

でも、手続きを進めるとだんだん実感が湧いてきました。夕食は、せっかくなのでフレンチのフルコースを予約しました。トワイライトエクスプレスに乗れる日が来るとは思っていなかったので、旅程だとかサービスについては詳しく知らなかったのですが、たぶん、この好機を逃してなるものかと思ったのでしょう。私にとって、生まれて初めて食べるフレンチのフルコースとなりました。

あの時、あの代理店に立ち寄ってみて本当によかったと思います。この時チケットが取れなかったならば、私は一度もトワイライトエクスプレスに乗る機会がなかったかもしれません。そして、もしこの時に乗っていなかったならば、ダイナープレヤデスを主役にした本を作ろうとは思わなかったでしょう。

……というわけで、長々と私事を綴りましたが、『ダイナープレヤデスの輝き』は好評発売中です。一時品切を起こしましたが、すでに重版が出来上がっているので、店頭で見つからなくても、ご注文をしていただければ、すぐにお届けできます。あらためまして、よろしくお願い申し上げます。

pleiades_160pix.jpg 『「トワイライトエクスプレス」食堂車 ダイナープレヤデスの輝き――栄光の軌跡と最終列車の記録』 A5判・184頁/本体価格1500円(税別)

「北斗星」、廃止へ

今朝の読売新聞によれば、JR東日本とJR北海道が「北斗星」を2015年度中に廃止する方針を固めたとのこと。JR両社による発表はまだのようですが、記事では「近く発表する」とされています。

もちろん驚きましたが、2016年春の北海道新幹線開業にともない「北斗星」が廃止されるのではないか、という話は以前からありましたので、来るべきものが来たか、の感もあります。でも、本当に……?

読売の記事は廃止の理由を「新幹線の試験運行が行われるほか、車体の老朽化などが進んでいるためだ」としています。また、共同通信記事では「客車の老朽化に加え、2016年春の北海道新幹線開業に向け青函トンネルなどで工事や走行試験があり、運行時間の確保が難しくなるのが理由」としています。

夏場などに臨時列車として運行される可能性はあるようですが、寂しいかぎりです。

なお、このブログを更新する前にネットでざっと調べたところ、他紙も続々と報道しています。ただし、全部を確かめたわけではありませんが、読売の記事以外は、共同通信の配信記事のようです(北海道新聞もそうでした)。

「北斗星」は1988年3月、青函トンネルの開通に伴い、上野~札幌間をむすぶ定期列車と季節列車として新設されました。全盛期には1日3往復の運行があり、オール個室化や盛岡~八戸間の第三セクター鉄道化、八戸~青森信号場・青森間の第三セクター鉄道化を経て、現在は毎日1往復(運休日を除く)が運行されています。

『鉄道手帳[2015年版]』の資料「寝台特急パーフェクトガイド」では、その運転概要、沿革、車両編成、見所を紹介していますので、これから「北斗星」に乗ろうという方は(いや、その予定がなくてもこれを機に)、ぜひご一読ください。もっとも、いまでも寝台券が取りづらい状況ですから、これから寝台券を取るのは至難の業でしょうが。

エスカレーター問題、補足。

前回記事では、関西におけるエスカレーターの「右立ち」について書きましたが、その後、大事なことがわかりました。大事なことなので、前回記事への追記ではなく、独立した記事にしてご説明します。

前回記事を書き上げたあと、一般社団法人日本エレベーター協会(エスカレーターも対象になっています)のホームページをあらためて見たところ、片側空けに伴う危険性の周知と歩行禁止のキャンペーンを行っていることを知りました。恥ずかしながら、これまであまり意識していませんでした。

また、今年の7月22日から8月31日までは、鉄道事業者42社局と日本エレベーター協会などにより、エスカレーター「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンが実施されていました。

すでにキャンペーンは終わっていますが、エスカレーターの安全な使用に関わることなので、ここに引用します。


 お客さまに駅等のエスカレーターを安全にご利用いただくために、2014年7月22日(火曜)から、全国の鉄道事業者42社、商業施設、森ビル、(一社)日本民営鉄道協会、(一社)日本エレベーター協会と共同で、エスカレーターの安全利用を呼びかけるキャンペーンを実施します。
 昨今駅等においては、お客さまがエスカレーターをご利用になる際に、ご自身でバランスを崩して転倒されたり、駆け上がったり駆け下りたりした際に他のお客さまと衝突し転倒させるなどの事象が発生しています。また、エスカレーターで歩行用に片側をあける習慣は、片側をあけて乗ることのできないお客さまにとって危険な事故につながる場合もありますので、みんなが安心してエスカレーターを利用できるよう「みんなで手すりにつかまろう」等の呼びかけを実施します。


片側を空けて乗るということは、急いでいる人の歩行を促すため、何らかの理由で片側立ちがしにくい人や、歩行者当人にとって危険である、ということですね。たしかにそのとおりです。猛烈な勢いで上り下りする人が、横に立つ人にぶつかりそうになることはありそうです。

輸送効率の点から考えても、このほうがいいのかもしれません。片側空けは、急いでいる人にとってはありがたいことですが、「輸送量(数)」を考慮するなら、片側だけで人を運ぶよりも、両側を使ったほうが効率がいいはずです(目的地への到着時間はともかく)。

また、エレベーター協会では触れていませんが、エスカレーター本体にとっては、片側立ちよりも両側立ちのほうがバランスがよく、もしかしたらメンテナンスの面でも影響があるのかもしれません。

長年の習慣を急に変えるのは難しいし、いろいろな意見があることと思いますが、片側立ち(空け)にはこうしたリスクがあることを知っておいていただければ幸いです。

なお、前回記事は片側空け(立ち)の現象の理由を紹介したものであり、片側空けを推奨したものではありませんので、そのままにしておきます。
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