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『「見る鉄」のススメ』重版決まりました!

2月新刊『「見る鉄」のススメ 関西の鉄道名所ガイド』(来住憲司著)の第2刷重版が決定しました。ご購入くださった皆様、誠にありがとうございます。

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先日も書きましたように(2月14日)来住さんの単著は本書で3冊目、共著や編集協力していただいたものを含めると5冊目になるのですが、本書を含めてうち4冊が刊行後すぐに重版したことになります。

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いやはや、来住さんは私にとって福の神なのでしょうか。とても足を向けて寝られませんね。

来住さん、どうもありがとうございます。そしておめでとうございます。編集中はいろいろ言いましたけれども、心から感謝しています(しかし、だからと言って鬼の督促はやめませんが))。

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じつは来住さんと出会った当初、来住さんのほうから「索道(ロープウェイ)の本を作りませんか。鋼索鉄道(ケーブルカー)と組み合わせてもいいですよ」というご提案がありました。

それに対して私は「えっ、ロープウェイですか!? うーん、それもいいんですけれど、その前にフツーの鉄道の本を作りませんか? 実績をつくってから索道本を作るというのはどうでしょう?」などと言って、次々に鉄道本の企画を提案し、気がつけば4年で5冊もの本にかかわっていただいています。

そろそろロープウェイ本もいいのかなと思うのですが、すでに別の企画が決まっています。企画が通っていないのでまだ書けませんが、私が以前から希望していた企画で、誰にお願いしようかなと思っていたら、なんと来住さんのほうからご提案をいただきました。まあ、私が焚きつけていたのですけれども。

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次作はちょっと時間がかかる企画です。はたして来住さんだけでやり抜くことができるのかと、ひそかに心配しているのですが、たぶんやり遂げてくださるでしょう。大いに期待しています(でも、私を大魔神に変身させないでください)。

というわけで、ロープウェイ本の実現はまだ先になりそうです。でも、いつか実現したいと思います。来住さん、今後ともお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。
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『近鉄中興の祖 佐伯勇の生涯』にみる聞き取りの妙

 先日、『近鉄中興の祖 佐伯勇の生涯』の刊行をご報告しましたが、内容の紹介をしないままに終わっていました。

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私の感想なり、感激なりをお伝えしたいのですが、それなりにしっかり書こうとすると時間がかかりそうなので、今回は本書で紹介されているエピソードをいくつかご紹介します。

本書を書き上げるにあたり、著者の神崎先生はさまざまな関係者に聞き取り調査を行っています。近鉄の関係者はもちろん、家族、佐伯の出身地である丹原町(現・愛媛県西条市)の親類縁者、行きつけの料亭の女将など、公私を問わず佐伯に関わりのあった人たちに粘り強く取材し、佐伯の事績と行状を明らかにしています。

神崎先生の聞き取りの巧みさにはおそれいるばかりで、読んでいると、まるで自分がその場に居合わせているかのように感じます。あわてず、急かさず、本筋とはまったく関係ない話しにもじっくり耳を傾け、関係性ができたところで本格的な聞き取りに入っているからこその臨場感、説得力なのでしょう。

たとえば、本書の書き出しは大阪ミナミの料亭の一室からはじまります。大和屋の名物女将、阪口純久さんの語りですが、女将の佇まいや口調がまざまざと浮かんでくるような聞き取りです。


「御大が逝きはってから十月、まだ信じられませんのや。ひょこっと来はって、そこへ座りはって、風呂わいてるかって、あのしゃがれ声で急かしなはる、そんな気がしてなりませんのや。

ほんまに、たいそうな人でしたで。私らは、仕事先での御大はよう知りませんけど、そら、偉いお方でしたやろな。もちろん、教養はおありやし、弁もたちはったやろから。地位も名誉もおありやし、ふつうは近よりがたいお方でしたやろな。たしかに、表向きには、こわもてが鎧よろいを着たようなところがありましたわ。とくに、自分や内輪には厳しい人でしたで。

よう怒られましたで、そら。慣れんと、びっくりしますわ……。あの目ン玉で、あの声ですからな。

でも、ここに来てはるときは、素地のまんま……。といいたいところですが、あれが素地やと思うけど、とても一言ではいえませんわ。

よう怒りはるのは、こら外も内も同じですわ。頑固で短気ですからな。そやけど、強気一本で自信満々かと思えば、細かいことにもよう気がつきはるし。わがまま放題かと思えば、時折ほろっとするようなやさしいこというてくれはるし。頭ごなしに怒りはるかと思えば、すぐまた機嫌とりはるし。まあ、いろんな顔をみせてくれはりましたなあ。千両役者のようなお方でしたで。

ほんまは、初うぶで気が小さかったんやろな、と思います。そやから、かわいいんでっせ。無理いいはっても、怒りはっても、あのヤンチャな顔してニヤッと笑われたら、憎めませんねんわ。

あんなけったいなおっさん、もうでてきはらへんのとちがいまっしゃろか」



こういう書き出しを読むと、どんな人物なのか、もっと知りたくなるというのが人情というもの。文量的に比較的抜き出しやすいところを引用しましたが、本書にはほかにも優れた「聞き取り」があります。単に情報として文字を追うのではなく、じっくりと耳を傾けるように、人生の機微に思いをめぐらせながら読んでいただければ幸いです。

『「見る鉄」のススメ 関西の鉄道名所ガイド』刊行!

本書は、来住さんとつくった鉄道本の3冊目(単著)です。来住さんに初めてお会いしたのは2015年3月ということを考えると、なかなかの生産効率です。

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来住憲司著『「見る鉄」のススメ 関西の鉄道名所ガイド』

最初の本は『京都鉄道博物館ガイド』(2016年5月刊)で、建設中の博物館🏛に二人で足繁く通って取材を重ねました。役得といえば役得ですが(新幹線の脱出口を見せてもらったり、巨大ジオラマの中に入って撮影させてもらったり)、工事都合のため取材が当初予定していたように進まず、胃がキリキリしました。

原稿執筆もまた思うように進まず、私は昼夜かまわず来住さんにメール、電話をしまくりました。はじめはそれで良かったのですが、ある時から来住さんが電話に出てくれなくなりました。こちらも必死ですから、自宅まで押しかけるのですが、会ってみると、ご本人はケロッとしています。

聞けば「睡眠不足で居眠りしていた」or「お腹が痛くてトイレにこもっていた」らしいのですが、真偽はともかく、相当につらかったようです。思えば、私もここまで追い込んだ経験はありません。来住さん、ごめんなさいね。

ただ、苦労の甲斐あって、博物館ガイドは発売後すぐに重版がかかりました。とても幸せなスタートです。

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次の単著📙は『車両の見分け方がわかる! 関西の鉄道車両図鑑』(2017年10月刊)。こちらはまだ重版に至っていませんが、この種の図鑑らしく堅調に売れていますので、いずれ重版ないし改訂版をつくることになろうかと思います。

これは本当に作り甲斐のある本で、おかげで車両を見分けるポイントを学ぶことができました。まあ、基本的に見た目の分類なので、近鉄ファンの方には叱られるかもしれませんけれども、たんに車両解説だけでなく、各鉄道会社・路線の概要とか、列車種別ごとの停車駅とか、用語解説とかも収録しているので、1冊持っていて損はない本かと思います。

この本も、前作同様、最後はスケジュールがきつくて大変でした。来住さん宅にお邪魔して、来住さんが原稿を書くそばから私が原稿を整理して、ひとつひとつ完成稿を仕上げていくという強行軍となりました。明石まで何度通ったことか。

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こうした過去の苦い経験をふまえて、3冊目の本作をつくるにあたっては、かなり余裕のあるスケジュールを組みました。締切までに何度も進捗状況を確認して、今度こそスムーズに仕上げましょうと二人して意気込みました。

しかし、二度あることは三度ある、またしても同じ轍(テツ)を踏んでしまいました。今回は「自宅軟禁」までは行きませんでしたが、それでも昼夜を問わず大阪と明石を何度も往復しましたし、深夜のファミレスで付きっきりで校正することもたびたびです(このファミレスも、いわゆるトレインビュー・スポットですが、本書では紹介していません)。

深夜のファミレスでおっさん二人がブツブツ言いながら粘る姿が微笑ましいわけもなく、さりとて恥ずかしがっている場合ではないので、オーダーを重ねては校正に打ち込んだものです。コーヒー類は全種類制覇しましたね。

……という話をして皆様からご同情をいただこうなどとは思っていませんが、しかしこれまでの本同様、今作も時間を言い訳に手を抜くことなく、精魂込めてつくりました。少しでも皆さんに楽しんでいただけるよう、お役に立てるよう、限界までテキストと写真を詰め込んだつもりです。

紙幅の制約のため、舌足らずの箇所もあるかもしれません。これを書くなら、あれも書いてほしかったというご意見もあるかもしれません。ごもっともです。関西にはほかにも見どころがたくさんあります。

ただ、本書はあくまで「ガイド」です。皆さんが本書を手に現地を訪問されることで、本書の目論見ははじめて達成されるのです。

そういうこともあって、本書には比較的アプローチのしやすいスポット、危険の少ないスポットを選んで掲載していますが、人やクルマが行き来したり、他の撮影者がいる場合もあります。ご自分と周囲の安全に配慮しつつ、常識的な範囲で鉄道を楽しんでいただきますようお願い申し上げます。

追記 忘れていたわけではないのですが、来住さんが関係した著作は上記3冊のほかに2冊あります。1つは前里孝監修/星野真太郎著『全国駅名事典』(2016年12月刊)で、この時は企画段階の打ち合わせと校正作業で協力していただきました。

もう1つは所澤秀樹氏との共著『東京の地下鉄相互直通ガイド』で、こちらの本では車両の撮影と解説を担当していただきました。ありがたいことに、いずれの本も発売後すぐに重版がかかっています。