『鉄道の基礎知識』の話(1)

12月になりました。師走最初の記事はカレンダーの紹介にしようと思っていましたが、肝心のカレンダーが手元にありませんので、予定を変更して、2010年に発行した『鉄道の基礎知識』についてお話したいと思います。

先日、『鉄道手帳[2010年版]』(2009年10月発行)を取り上げましたが、これより前に『鉄道の基礎知識』という本を出しています(2010年2月発行)。

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著者はおなじみ所澤秀樹氏で、鉄道全般に関する氏の長年の探求の成果(の一部)を注ぎ込んだ本です。以下に内容紹介を引用します。


車両、列車、ダイヤ、駅、きっぷ、乗務員、運転のしかた、信号・標識の読み方など、鉄道に関するあらゆるテーマを平易かつ蘊蓄たっぷりに解説した鉄道基本図書の決定版! 探求心旺盛な著者が、長年の調査・研究で得た成果を惜しげもなく披露、700点に及ぶ資料写真を交えながら鉄道システム全般を的確に解説します。初心者からベテランまで、楽しみながら鉄道の基本が学べる珠玉の一冊。


このブログの最初のほうの記事でも触れていますが、所澤氏には『鉄道手帳』よりも前に本書の執筆をお願いしていました。効率の点からは、本書を刊行したうえで『鉄道手帳』をつくったほうが良かったのですが、手帳の販売時期などを考えるとそうも行かず、あとから企画提出した『鉄道手帳』のほうが先に出ることになりました。振り返ってみるとそれは適切な判断でした。というのも、『鉄道の基礎知識』はなかなか予定どおりに仕上がらなかったのです。

所澤氏に企画を依頼したのは、おそらく2007年の夏のことです。鉄道趣味の入門書のようなものを作りたいと考えた私は、執筆してくれそうな人を探していました。重厚とはいわないまでも、内容のあるしっかりした本をつくりたいという思いがありましたので、その手の本をいろいろ読んだ末、所澤氏にたどり着きました。面識のない著者に対していつもやるように、まず依頼の手紙を出し、日をおいて電話をかけ、面会の約束を取り付けました。執筆してもらえることが決まったわけではありませんが、受話器を置くと、これもいつもやるように小さくガッツポーズ。第一関門突破です。

待ち合わせは舞子駅改札。約束の時間に行ってみると、パナマ帽にアロハシャツという出で立ちの浅黒い男性が異彩を放っていました。身長はそう高くありませんが、体格はがっしりとしていて存在感があり、こういってはなんですが、とてもカタギの人には見えません。暑いせいか、あるいは外の日射しに対して構内が暗いからなのか、やや不機嫌な顔をしているようにも見えます。

ほかに待ち合わせをしている人もいないので、つとめて明るく声をかけてみます。すると意外に甲高い声がかえってきました。電話で聞いたあの声です。初対面でどういう挨拶をしたかはよく覚えていませんが、とにかくここでは何だからということで、駅に隣接するビルの喫茶店に落ち着き、私は企画趣旨を説明しはじめました。

席に着いた時はわりに明るい雰囲気でしたが、私が話しだすと、氏は品定めでもするかのように黙って聞いていました。時折腕を組んだり、頷いたりはしますが、声は発しません。私はふだん早口らしいのですが、緊張すると自分でもわかるほど早口になってしまうので、時々、視界の片隅でゆるゆると回るシーリングファンを見て、気を落ち着けるようにしました。

一通り話が終わると、「いいですよ。やりましょう」の一言。そこから先の具体的なやりとりはもう忘れましたが、氏は堰を切ったかのように話しだし、いつの間にか鉄道には関係のない話へと脱線、ウエイトレスが何度も水を取り替えるのにもかまわず話し続け(私はけっこう気になっていましたが)、ともかく最後は二人とも意気揚々として帰路につきました。

次のステップは企画会議ですが、当時の熱気がよみがえったのか、少々長くなりましたので、今日はここまでにしておきたいと思います。
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