ダイアリー欄の編集――ひそかに毎年改訂しています

企画が可決されると、さっそく所澤氏と企画詳細を詰める作業に入りました。数回にわたる打ち合わせを経て構成要素が出揃い、仕事の分担も決まりました。巻頭路線図と高度な知識を要する資料は所澤氏が担当し、ダイアリー部分と「JR車両の形式記号・番号の読み方」のような基本的な資料は編集部で作成することになりました[注1]

ダイアリー欄についていうと、鉄道関係の年表・事典や社史などをもとに原稿を書きためていくのですが、これが考えていた以上に難しい作業でした。まず無数にある鉄道史上の出来事のなかから項目を選ぶのに困りました。なにしろ勘所がわからないものですから、自分でもじれったくなるほど時間がかかります。そのくせ、自分が知る懐かしい車両が出てきたり、出来事に関する詳しい記述があったりすると、ついつい前後を読み込んでしまいますから、時間はどんどん過ぎていきます。

日付を特定するのも難問で、この出来事を入れたいと思っても正確な年月日が不明だったり、資料によって日付が違っていたりするので、これまた困ります。逆に、特定の日に出来事が集中していて、項目を絞らなければならないケースもありました。せっかく調べ上げた項目を削るのは忍びないことですが、やむを得ません。

所澤氏による容赦のない「赤入れ」も頭痛の種でした。氏の指摘はいずれも的確で、精度が高まっていくのはありがたいのですが、固有名詞や年月日は言うに及ばず、表現のしかたも厳密にチェックされたので原稿は朱筆だらけとなり、神経はズタズタです。再調査が必要な項目もかなり出てきて、何度も心が折れそうになりました。ただ、この時の「指導」のおかげで、鉄道本を編集するコツや心得を学ぶことができたように思います[注2]

2009年版をお持ちの方はご存じでしょうが、この時のダイアリー欄には何の出来事も記されていない箇所が多数あります(下掲写真)。締切まで項目収集にあたるとともに、【豆知識】を入れてなるべく空欄ができないように努めましたが、当時はこれが限界でした。また、この時は1週間1ページ仕様だったので、メモスペースが小さくなってしまい、ダイアリーとしての使い勝手が悪くなってしまったのも反省すべき点でした。

2009年版のダイアリー欄


これらの問題点は2010年版以降で解決していくことになります。まずダイアリーを見開き1週間仕様にし、メモスペースを確保しました。また、空欄を減らすべく資料を読み込み、すでに何らかの記述のある項目についても情報量を増やすことに努め、さらに欄外スペース(右ページの下部)の補足解説の充実を心がけました。この作業は毎年続き、2012年版でようやく空欄をなくすことができました(1週間見開きのページについてのみ)。今後も少しずつ整備していきたいと思います[注3]


[注1]所澤氏との打ち合わせ……打ち合わせはたいてい「一杯つき」で、2人で5~6時間飲むのはざら(最近は3~4時間)。最初は仕事の話をしているのですが、いつのまにか氏の大好きな「必殺」シリーズや特撮シリーズの話になってしまいます。この方面に関する氏の造詣は鉄道研究と同じくらい深く、その抜群の記憶力には毎度驚かされます。ちなみに特撮はウルトラセブンとマイティ・ジャックをこよなく愛し、カラオケは「太陽戦隊サンバルカン」(OP)が十八番です。

[注2]所澤氏の朱筆……「一般的にはこういう書き方でいいのだけど、厳密じゃない。誤解される可能性もあるから、こう書くべし」という具合によく喝を入れられました。こちらは資料をもとにそう書いているのですが、知識と経験に裏打ちされた所澤氏の指摘は説得力があり、とても勉強になりました。とはいえ、2009年版の編集を終えた際、「初めて鉄道本を編集したわりには良かったよ。まだ赤が少ないほうだよ」と慰めの言葉をいただくほど凹みましたね。

[注3]ダイアリー欄の改訂……当初は「毎年少しずつ記述を増やしていけばいい」とやや楽観的に考えていましたが、年が明けるごとに曜日がずれることを忘れていました。1年に1日ずつずれていくので(日曜日が月曜日になる。閏年はさらにずれる)、当然ダイアリーページのレイアウトも1日ずつずらさなければなりません。当たり前だし、簡単なことじゃないかと思われるでしょうが、さにあらず。日付の移動に合わせて欄外の補足解説もずらし、さらに行数を調整する必要があるのです(欄外記述があふれ出したり、少なくなったりするため)。地味ですが、なかなかしんどい作業です。こんな仕組みにするんじゃなかったと毎年思いながらも、みなさまに「へぇー」と思っていただけるよう、記述の見直し・加筆に手間ひまかけております。
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