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朝日新聞に広告掲載。

『鉄道手帳』につきましては、依然として品薄でご迷惑をおかけしております。あいにく重版の予定はなく、書店ないし取次にある在庫のみでの対応となってしまいます。せっかく関心をもっていただけたところで大変心苦しく思いますが、なにとぞご容赦願います。

その代わりにはなりませんが、先月刊行した『鉄道の誕生』についてご案内いたします。朝日新聞をお読みの方は、日曜日の読書欄にこんな広告が載っていたのをご存じでしょうか。

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左下に慎ましく、しかし書名はけっこう大きく掲載されています。湯沢威著『鉄道の誕生――イギリスから世界へ』(税込2310円)。ありがたいもので、この広告が出ると、たちまち書店で反応がありました。

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本書は前にも申し上げましたように、「創元世界史ライブラリー」の1冊です。世界史の本なので、書店では世界史本のコーナーに置かれていることが多いと思います。

いわゆる鉄道趣味本ではないので、鉄道ファンの方にはひょっとしたら少し物足りないかもしれませんが、鉄道がどのような経緯を辿って誕生したのか、鉄道が登場したことによって社会がどのように変わったのかを知ることは、鉄道趣味をより深く楽しむうえで有益だと思います。

本書はしがきの一部を抜き出してみます(と言いつつ、けっこう長いので、飛ばしてくださってもかまいません)。



  ある時代に発明されたものが、同時代の社会を一変し、その後の歴史に少なからぬ影響を与えた例は数多くある。交通・輸送にかぎっても、車輪・船・馬車・鉄道・自動車・飛行機など、文字どおり画期的な発明があり、これらを抜きに近代までの経済発展はなかったと言っても過言ではない。

  とりわけ鉄道は、19世紀はじめにイギリスで発明されるや、短期間のうちに欧米をはじめ世界へと広がり、物資の輸送や人間の移動手段として日常的に使われるようになった。鉄道は各国の経済・社会や文化に大きな影響を与えることとなった。

  鉄道による高速輸送の実現は、人々のライフスタイルをも変えた。馬車ならば数日かかったような遠方への出張も鉄道ならば一日で済むようになったし、通勤列車も生まれた。生鮮食料の輸送が可能になったことにより、都会の食卓に地方からの新鮮な野菜やミルクが並ぶようになった。鉄道の発達は国内の流通ルートの変更をもたらし、全国の産業分布にも影響を及ぼすようになった。また、郵便の配達や新聞、雑誌の輸送も以前とは比べものにならないほど早くなり、人々はいち早く情報を共有できた。さらには鉄道を利用した旅行業が誕生し、世界初の旅行代理店も誕生した。

  鉄道の建設自体がもたらした経済効果も見逃せない。巨大なインフラの建設には巨額の資金を必要としたが、それは株式会社の設立によって調達された。一九世紀のあいだには三度の鉄道ブームが起こり、新しい形態のビジネスも生まれた。レールや蒸気機関車などの鉄道関連の産業や、鉄道建設にかかわった多数の建設業者たちがそうである。さらに注目しなければならないのは、輸送方法の革新として登場した鉄道が、次第にそれ自身が投機対象としての性格を強めていくことである。そこにはイギリス社会における投資家層の形成をみることができる。しかも投資家たちは国内の鉄道だけではなく、海外の鉄道にも積極的に関わっていった。一九世紀後半のイギリスの海外投資の過半が鉄道に向けられていたことの理由も明らかとなろう。このように鉄道は産業革命以降の近代文明社会の一つの象徴的な存在となり、現代社会経済の形成のうえで大きな影響を与えた一つの産業であることは間違いないであろう。




いかがでしょう。ブログだと読みづらいかもしれませんが、1つひとつ想像しながら読むと、鉄道がもたらしたインパクトがよくわかると思います。本文では、技術の発展や、トレヴィシック、スティーヴンソン父子などの鉄道技術者、鉄道建設に邁進した商人や銀行家などのエピソードを交えながら、鉄道草創期の歴史を蒸気機関車以前に遡って丁寧に解説しています。

もちろん、鉄道史上重要な蒸気機関車もたくさん出てきます。「蒸気機関車の父」リチャード・トレヴィシックによる世界初の蒸気機関車、「鉄道の父」ジョージ・スティーヴンソンによるロコモーション号およびロケット号、熾烈をきわめた「北への競争」の主役フライング・スコッツマンおよびデイ・スコッチ・エクスプレス、蒸気機関車の史上最高速を記録したマラード号など、鉄道史を彩る名車両を図版や写真とともに紹介しています。

ほかにも、レールの材質や形状の変遷、ゲージ・サイズ(軌間)決定の経緯、英米の客車の違い、鉄道建設請負業者の存在、「鉄道王」ジョージ・ハドソン、スコットランドのテイ湾とフォース湾に建設された長大な橋梁(これは必見)などなど、興味深いトピックスがたくさん出てきます。

「日本の鉄道だけで十分」などとおっしゃらず、鉄道の起源について楽しみながら学んでいただければ幸いです。優れた日本の鉄道技術も、もとを辿ればイギリスのそれに行き着くのですから、知っておいて損はないと思います。
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