『関西の鉄道車両図鑑』:運行系統図も付いています!

前回記事では、この図鑑の大まかな特徴をご紹介しました。要するに、車両識別に重きをおいていて、個々の車両のちがい(来歴、性能その他)と車両を見分けるポイントを解説しています、ということでした。

ただ、本書では車両解説に加えて、鉄道軌道各社のなりたちや現況にも触れています。紙数の制約があるため、十分な解説とは言えませんが、概要を知るには適当な分量ではないかと思います。

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京阪電気鉄道の会社概要ページ。4ページにわたって歴史と路線を解説しています

また、会社によっては、優等列車の停車駅をまとめた運行系統図もあります(路線図ではないので、優等列車の設定がない場合はありません)。以下はJRグループの新幹線の例。「関西で見られる現役車両」に絞っていますので、JR西日本、JR東海、JR九州のみを対象としています。

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JR各社の新幹線の概要ページ。まあ、この程度の図ならよく見ますよね

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京都丹後鉄道の系図も載っています。特急と快速がありますから

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近畿日本鉄道の運行系統図。区間準急から特急まで、優等列車の停車駅をまとめました

運行系統図の作成は思っていたよりも大変でした。新幹線などは簡単ですが、JR西日本の特急網や快速サービス網、近鉄さんの系統図はなかなか手間がかかりました。

各社のホームページにある路線図や系統図をベースとして作るのですが、系統図が更新されていなかったり、停車駅が列車によって異なるケースもあるので、そういう場合はいちいち時刻表で確認するのです(来住さんが、ですが)。まさかこんなに手間がかかるとは思いもしませんでしたね。

しかしその甲斐あって、とくに近鉄さんの系統図に関しては、これまでにない系統図に仕上がったのではないかと思います。特急の系統図ならこれまでにもありましたが、上の図では急行以下を含めたところがミソです。

ぜひ、本書をお手にとってご確認くだされば幸いです。

『関西の鉄道車両図鑑』が出来ました!

大阪に本社をおく弊社入魂の1冊が出来上がりました。

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四六判、368頁、本体2200円(税別)。何とか携帯できる!?

いま関西で見られる現役車両の全タイプを網羅した本で、1車両1ページを基本としてオールカラーで紹介しています。

本書の特徴は、書名にもあるとおり「車両の見分け方がわかる」ことです。JR、大手私鉄は言うまでもなく、中小私鉄や公営鉄道も含め、あらゆる現役車両を外観的特徴、ひらたくいえば「顔」で見分けられるようになっています。


関西は首都圏と同様、おそらく世界屈指のレベルで鉄道網が発達している地域です。日本特有の事情があるとはいえ、これほど多くの鉄道会社が併存する地域はほかにはそうありません。

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※web用にかなり画質を落としています。

競合する区間では熾烈なサービス競争があり、路線が競合しない場合でも、それぞれに自負をもって切磋琢磨してきました。車両の開発はその最たるもので、おかげで関西では、いろいろな鉄道会社の車両を楽しむことができます。

しかも歴史のある会社が多く、概して物持ちがいい会社ばかりなので、新旧さまざまな形式が見られます。

たとえばいまも現役の南海電鉄6000系は1962~69年にかけて製造された車です。廃車が進みつつある阪急電鉄3000系も、製造初年は1964~69年で、ざっと50年前の車両ということになります。

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南海電鉄初のステンレス車にして、国内初の20m級ステンレス車となった6000系

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高性能車第2世代として1964~69年にかけて製造された阪急電鉄3000系

一方で新しい車両も着々と増えているわけで、こうなると車両形式を覚えるのも大変ですし、形式番号なしでは見分けるのも難しいでしょう。ひいきの会社はわかるでしょうが、それ以外となると、覚束ないことと思います。

そこで本書では、関西で見られるJRと私鉄各社あわせて37社局のほぼ全タイプの車両を収録し、車両のちがい、見分け方のポイントをまとめました。先にも書きましたように、1車両1ページを基本としていますが、バリエーションのある車両の場合、複数ページを使って解説しています。

収録対象は、電車、新幹線をはじめ、電気機関車、ディーゼル機関車、ハイブリッド機関車、気動車、客車……、とにかくあらゆる車両を収録しています。さらに広義の鉄道である、モノレール(軌道)やケーブルカー(鋼索鉄道)も収録していますし、試験車の類も掲載しています。

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JR西日本のEF65のオリジナルカラー。トワイライト色塗装の車両も載っています

その数なんと……すみません、カウントのしかたによってだいぶ変わるのではっきり書けないのですが、見出し項目数でいうと、245あります。実際には、複数の形式を一括して解説している場合もありますので(顔面基準による分類)、取り上げている形式はこれよりたくさんあります。

まだまだ書きたいことがありますが、長くなりましたので、今宵はここまでにいたします。


おかげさまで10年目。『鉄道手帳』本日発売!

あの夏の猛暑はどこへやら、すっかり秋めいてきました。みなさん、健やかにお過ごしでしょうか。

私はこの夏にちょっと無理をしてしまい(自分のせいですが)、体調がすぐれなかったのですが、徐々に回復してきました。

ただ、困ったことに、体重が少々増えてしまいました。ふだんなら、夏の間に1~2キロやせるのですが、知らないうちに食べすぎていたのか、あるいは年齢相応に代謝が落ちたのか、逆に1~2キロ増え、少し気にしています。

まずは深夜になりがちな夕食時間を前倒しするところから対応しようと思います。あと、さぼっていたストレッチもちゃんとします。

私のボヤキはさておき、本日『鉄道手帳[2018年版]』が発売されました!

2008年の創刊から数えて10年、節目の年を迎えることができました。それなりの覚悟をもってはじめた企画ですが、少なくとも創刊時には、こうして10年目を迎えられるとは想像できませんでした。

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◆画像クリックで弊社サイトに飛びます。立ち読みできます!

これもひとえに皆様のご支援、ご指導の賜物と存じます。途中、苦しい時期もありましたが、本手帳を使ってくださる方々からの励ましのお便りにたびたび元気をいただき、前に向かって進むことができました。

ここに衷心より御礼申し上げます。ありがとうございます。

『鉄道手帳[2018年版]』の内容については、だいたい年内いっぱいをかけてぼちぼちご紹介していくつもりですが、その前に、〈『鉄道手帳』10周年記念スペシャルサイト〉をご紹介いたします。

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このスペシャルサイトでは、10周年のあゆみを年表ふうに振り返っています。創刊時の仕様と以降の変遷、タモリ倶楽部出演の影響など、年ごとのトピックをご紹介しています。

また、『鉄道手帳』をまだご存じない方のために、「Q&A」ページも設けました。手帳のコンセプトや収録路線図の特徴、資料編の内容など、手帳誌面をお見せしつつ解説しています。

スペシャルサイトではさらに、10周年記念のプレゼント企画もご案内しています。弊社ホームページのリニューアルキャンペーンともども、奮ってご応募くだされば幸いです。

同サイトではこのほか、弊社刊の鉄道書籍も一挙にご紹介しています。宣伝不足でご存じない本もあるかもしれません。この機会にぜひお確かめ願います。

同じく本日発売の『車両の見方がわかる! 関西の鉄道車両図鑑』は、別記事でご紹介いたします。乞うご期待!

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◆画像クリックで弊社サイトに飛びます。立ち読みできます!

連載再開に先立って

ご無沙汰しております。鉄道手帳編集部です。

昨年の12月29日に更新をして以来、8ヵ月以上も放置してしまいました。この間に当ブログを訪れてくださった方には深くお詫び申し上げます。

ブログ更新を中断していたのには理由があります。じつは、弊社刊『乗らずに死ねるか!』の著者、黒田一樹氏が今年1月3日に逝去されました。享年44歳。あまりにも早すぎる旅立ちでした。以来、どうしてもブログを更新する気になれなかったのです。

ほぼ同年齢の黒田さんが、エネルギッシュかつアグレッシブに人生を謳歌していた黒田さんが亡くなったショックは非常に大きく、一時はこのままブログを閉鎖しようかとも考えたほどです。

しかし時間が経つにつれ、このままではいけないとの思いも徐々に強くなってきました。

とはいえ、ブログを再開するにあたっては、黒田さんのことに触れないわけにはいきません。ブログ休止の理由を述べるためではなく、自分のなかで区切りを付けるために、です。

私事で恐縮ですが、ブログ再開に先立ち、黒田さんへの言葉を掲載させていただきます。以下の文章は、お葬式で参列者代表の一人として読み上げる予定でしたが、当日持参するのを忘れてしまったため、後日、奥様にお送りしたものです(当日は書いたことを思い出しながら、お話をしました。思いがこみ上げて、半分もお伝えすることができませんでしたが)。

生前の黒田さんをよく知る方にはご理解いただけるものと思いますが、そうでない方には度が過ぎると思われるかもしれません。

黒田さんは湿っぽいのを嫌う方でしたので、参列者の皆さんに私の知る黒田さんを想像していただき、少しでも笑っていただけるようにと面白おかしく書いているところもありますが、誇張はありません。

社交儀礼を嫌う黒田さんに対しては、本音で語るのが供養になると信じて、全文をそのまま掲載します。


本日お集まりの皆様に比べると、黒田さんとのお付き合いは浅いほうだと思います。黒田さんの鉄道本デビュー作である『乗らずに死ねるか!』の編集を担当し、その後も当社の鉄道セミナーにご協力をいただいたり、地下鉄本の企画を一緒に練ったりと、4年ほどのお付き合いになります。

黒田さんと出会ったのは、140Bさん主催のナカノシマ大学のセミナーでした。2013年の4月のことで、その頃、私は鉄道本の新たな著者を探していまして、あれこれと調べていたのですが、なかなか琴線に触れるような人にめぐり会えませんでした。

鉄道趣味を生業とする人はこの業界にそこそこいるのですが、どうも文章がいまひとつで――いまひとつというのは、根っからの鉄道ファンには十分通じるけれど、それほどでもない人にはいまひとつ魅力的でないという意味です――ものは試しとナカノシマ大学を受講したのです。

そこで初めて黒田さんの講演を聞きました。講演が面白くなければ挨拶もせずに帰るつもりでしたが、これが滅法面白く、講演が終わる頃には、どのタイミングで挨拶をしようか、どう切り出そうかとソワソワしていたのを覚えています。

講演が終わったあと、すぐに黒田さんのもとに行き、鉄道本の出版にご協力いただけないか、手短に伝えました。いま思い起こすと、黒田さんはやや緊張した顔つきでしたが、安売りはしないとばかりに努めて冷静に振る舞っていたように思います。

けれども、儀礼的なメールのやりとりを経て、後日じっくり話し込むと、堰を切ったようにしゃべりだし、そこから話はトントン拍子に進んで、最初の挨拶から1ヵ月も経たないうちに企画書がまとまりました。

全国から黒田さん独特の審美眼にかなう名列車をセレクトして、縦横無尽に論じてもらうことになったのですが、これが目次からして出色で、黒田節が随所にみられました。

たとえば、京急800系のタイトルは「最高にして最後の俺様電車」、スーパーあずさは「交響曲・孤高の振り子特急」という具合で、いままでの鉄道本ではまずお目にかかれない、けれども妙に説得力のあるタイトルが付けられました。

このほかにも、南海・特急サザンには「純喫茶、臨港線、連絡船」、東武・尾瀬夜行には「飴色に沈む時間」というように、物語が聞こえてくるようなフォトジェニックなタイトルを付けるのも黒田さんらしいところで、編集者として、また第一の読者としてずいぶん楽しませてもらいました。

文章もまた上手で、語彙が非常に豊富なのに驚きました。鉄道の話なのに、美術や音楽、建築の知見が随所にちりばめられ、それが様になっていました。

まあいささか趣味に走りすぎ、スノッブで鼻に付くところがないではありませんでしたが、それを越えてリスペクトせざるを得ないような、そういう雰囲気を醸し出していました。

自分の思うことを思ったままに表現するというのは案外難しいものですが、黒田さんは言葉遣いが巧みで、自分のスタイルというものを持っていました。展開も非凡で、読み手を飽きさせることのない、非常に優れたストーリーテラーです。

ただ、編集者としては、あまりに尖った表現には抑制的にならざるを得ない場合もあります。読む人によっては気分を害するというか、誤解を招きかねない表現は、読者にとっても、その本にとっても得にならないからです。

この本の場合がまさにそうで、「はじめに」は5回ほど書き直してもらいました。言いたいことはよくわかるのですが、従来の鉄道評論へのアンチテーゼからか、もっともだけれど厳しすぎるコメントが並んでいたので、それは何とか削ってもらいました。

反対に本文のほうは、なるべくあれこれ注文を付けないようにして、自由に書いてもらいました。文句の付けようがない構築的な文章であったこともありますが、角を矯めては黒田さんらしさが失われるとおそれてのことです。

はたして黒田さんは期待に応えてくれ、いままでの鉄道評論とはまったく違うモデルを作り上げました。あえて言うなら、それは自動車評論のスタイルに近いと思いますが――黒田さんにそう伝えると、まんざらでもない様子でした――それにも増して、書き手の感性を感じさせる文章になりました。

私はスムーズでない原稿には恐縮しつつも、しっかり赤ペンやらエンピツ書きのメモを書き込むほうですが、黒田さんの原稿に対しては、あまり入れませんでした。それは遠慮したのではなく、個性的にすぎるところはあったものの、文章の完成度がきわめて高かったからです。黒田さんは自分のスタイルをもっていました。

もっとも、原稿を1本書き上げるたびに感想を求められるのには少々困りました。原稿をメールで送るや電話をかけてきて、原稿をすぐ読んでくれと言うのです。

たしかに良い文章なのですが、大急ぎで読んで、感想というか印象を伝えるのはなかなか骨が折れました。5本や6本ならともかく、30本近くとなると、評価のバリエーションが追いつきません。

が、褒めないと目に見えてモチベーションが下がるので、何かしら気の利いたことを言わねばなりません。おかげで多少はマシなことが言えるようになりました。

本は企画から1年ほどで出来上がりました。本業をこなしながらの原稿執筆、校正ですから、これは驚くべきハイペースです。

その間、何度も激論を交わしました。何日かはお互いに徹夜仕事になりましたし、私から黒田さんに無茶振りもしました。喫茶店で数時間粘るのは当たり前で、週に何度もかかってくる電話で毎回少なくとも1時間は話しました。

私には長電話になる著者が何人かいますが、黒田さんは間違いなく「長電話三傑」に入っていて、これは編集部で広く認知されています。次から次に話題を変え、話題が尽きそうになると、名残を惜しむかのように、どうにか間をつないで別の話題に移るのですから、なかなか切れません。恋人同士でもあるまいに……。

本が出来上がるまでの間、掴み合いの喧嘩はしませんでしたが、その頃には言いたいことを言える間柄でしたので、私も負けじと、かなり率直な物言いをしました。

けれども、次に話をする時には、そんなことはなかったことになっていて、また別の話を熱心に話し合います。与太話に興ずることもありましたが、仕事の話はたいそう論理的で、大いに刺激を受けましたし、勉強させていただきました。

『乗らずに死ねるか』は、じつは商業的にはけっして成功したとは言えませんが、鉄道評論の新しいスタイルを打ち出した点で非常に意義があると考えています。

私が最も信頼する鉄道本の著者は、黒田さんがお気に入りで、「彼の文章はいいねぇ。まず視点がいいよ。この業界、鉄道ライターはたくさんいるけど、黒田さんほど文章が達者な人はいないよ。彼にどんどん書いてもらいなよ。まあ最初の本は売れなかったかもしれないけれど、内容は間違いなく良かった。日本の鉄道ファンが追いついてないんだよ」と言っていました。

私もそのつもりでした。

黒田さんとのお付き合いはこれにとどまらず、創元社主催の鉄道セミナーの講師も担当していただきました。これは毎回大好評で、受講者の満足度が非常に高く、5回まで続きました。

みなさんご存じのように、プレゼンテーションが非常に巧みで、途切れのないマシンガントーク、見やすく工夫のされたビジュアル、参加者いじり、もといコミュニケーションにも長けていました。しゃべるのが得意な人に文章を書いてもらうと、案外ダメなことが多いのですが、黒田さんは両方とも器用にこなしていました。

黒田さんには、つぎに日本全国の地下鉄を対象にした『地下鉄の読み方』を出していただく予定でした。原稿は途中まで出来上がっていて、東京の地下鉄と総論を書き上げれば、ほぼ出来上がるはずでした。

そしてそのあとは、プレミアムトークセミナーをもとに東京の地下鉄だけを対象とした本、さらに世界の地下鉄を征服した暁には、それを書籍にまとめていただく約束もしていました。

いずれも果たせず、非常に残念です。多才な人ですから、ほかにもさまざまな可能性があったはずです。ただ、一番残念なのはご本人でしょう。あれも、これもと、他にもやりたいことがあったことと思います。一筋縄ではいかない人でしたが、それを補ってあまりある才能と行動力の持ち主でした。

黒田さんとのお付き合いは短いものになってしまいましたが、とても濃密なものでした。もう黒田さんと仕事ができないと思うと寂しいかぎりですが、黒田さんに教えていただいたモノの見方、考え方を受け継ぎ、これからも良い本を作りたいと思います。黒田さんに「さすがだね」と言ってもらえるように。

黒田さん、どうもありがとうございました。

これをひとつの区切りとして、前に向かって歩いていきたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

追伸 次回が「運行再開」です。10周年を迎える『鉄道手帳』について、また同時刊行の『関西の鉄道車両図鑑』について、見所をお伝えしてゆきたいと思います。

2016年を振り返って

年末にかこつけて、今年出した鉄道本をざっとご紹介。

鉄道史の仁義なき闘い_convert_20160420201733
所澤秀樹著/2016年3月刊

トップバッターは『鉄道史の仁義なき闘い――鉄道会社ガチンコ勝負列伝』。

著者は『鉄道手帳』の責任編集者でもある所澤秀樹氏で、史上有名なライバル会社の対決の数々を取り上げ、日本の鉄道の来し方を振り返るという趣旨。

名阪間をめぐる官設鉄道と関西鉄道の運賃・サービス競争、

阪神間で官設鉄道に正面から挑んだ阪神電気鉄道、

その阪神と熾烈な抗争を繰り広げた阪神急行電鉄(阪神)、

「地下鉄の父」早川徳次と東京横浜電鉄総帥・五島慶太との地下鉄争奪戦

……などなど、会社の存亡をかけた闘争はまさに「仁義なき闘い」であり、近代産業史の縮図でもあります。


京都鉄道博物館ガイド_convert_20160420202518
来住憲司著/2016年5月刊

続いて5月に刊行したのは、来住憲司氏による『京都鉄道博物館ガイド』。京都鉄道博物館の開業に間に合わせるべく、睡眠時間を削りに削ってつくった、忘れようのない1冊。

工事の関係で博物館取材が思うように進まず、相当焦りました。さらに来住氏が遅筆というのか、凝り性で、なかなか原稿が上がらない。写真点数もこの種の本にしてはとんでもなく多いので、レイアウトもかなり手数がかかりました。

校了間近の頃は、来住氏も私もそれぞれ徹夜で、朝晩関係なくメール、電話の応酬をかさね、深夜のファミリーレストランでゲラの受け渡しをしたこともありました。

苦労の甲斐あって、なかなかよくまとまった本になったと思います。発売まもなく重版したのも嬉しいかぎり。


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写真は第4回セミナーの様子。黒田氏ならではの、美しくわかりやすいビジュアル。

出版ではありませんが、5月には第5回創元社鉄道セミナーを開催しました。

講師は弊社刊『乗らずに死ねるか』でおなじみの黒田一樹氏。「この夏オススメ!? 関西発の鉄道旅行ガイド」というテーマで、フツーでないがゆえに愉しめる、とっておきのコースを案内してもらいました。

久しぶりの開催だったためか、定員50名があっという間に満席になりました。私が出会った著者のなかでも超が付くほどの変人なのですが(褒め言葉です)、どういうわけか人気があります。

「中毒性のあるトーク」というのが本セミナーの売り文句になっているのですが、この時もまさにそのとおりで、テンポ良く進む黒田氏の案内に誰もが頷き、ときに微笑み、ときに大笑いされていました。

私は会場の後ろのほうでその様子を見ていたのですが、じつは参加者の皆さんは、テーマはなんでもよくて、黒田さんに逢いたいのではないかと思ったほどです。


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所澤秀樹責任編集、創元社編集部編/2016年9月刊

ほかのジャンルの本も作っていたので、しばらく間が空きましたが、9月には9年目となる『鉄道手帳』を刊行。

例年どおり、路線図、ダイアリー、資料編を更新し、これまた例年どおり、鉄道軌道各社に掲載データを確認していただくとともに、イベント予定を教えていただきました。

来年も1年間そばに置いていただき、「毎日どっぷり鉄道漬け」になっていただければ幸いです。

来年は節目の10年目。何かしら特別なことをしたいと考え中です。乞うご期待。


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星野真太郎著、前里孝編/2016年12月刊

そして12月。出来たてホヤホヤの新刊『全国駅名事典』を刊行しました。

長きにわって『駅名事典』を改訂出版されていた中央書院さんがなくなってしまい、この16年間は全国の駅名を網羅した事典がありませんでした。

どこか出してくれないかなと思っていたのですが、どうもそういう気配がないので、「それならウチで」と勢いで企画したのですが、思った以上の難事業で、気が変になるんじゃないかと思いましたね。

寝ていても、「あっ、あの訂正、ちゃんと反映したかな」「これは鉄道会社に確認しないといけないな」と気がかりが絶えることなく、家族には「寝ているとき、唸っていたよ」と言われる始末。

が、その甲斐あって、駅名レファレンスの決定版というにふさわしい内容になったのではないか、最初の一歩としては上出来ではないかと思います(思いたい)。

もちろん完璧というつもりはなくて、じつは、構想倒れで終わってしまった工夫もあります。詳しくは書けませんが、いままでの類書にはなかった工夫で、第2版以降で実現したいと考えています。

しかし第2版以降を出すには、第1版がある程度売れなければなりません。本書も『鉄道手帳』同様、皆様に育てていただく本です。一人でも多くの方に本書を座右の書としていただけますよう、心よりお願い申し上げます。


本年もご愛顧を賜り、誠にありがとうございました。来年も、皆様のお役に立ち、かつ楽しんでいただける鉄道本を出版してまいりたく存じます。引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。

来年が皆様にとって実りある1年となりますように。